病時保育

 私は自分の娘を病時保育つきの保育所に預けています。仕事柄、プライベートな事情を理由に顧問先にご迷惑をかけるわけにはいかないということから今の保育園を選択しました。
 たまたま近くにこのような保育所があったから良かったのですが、世の中には病時保育付の保育所は少なく、あまり普及していません。大多数の働くママは子供が病気になると、仕事を途中で置いてお迎えにいかなきゃいけないのです。そして当然1日で治るとは限らないので、何日休まなきゃいけないのか分からないといった、とても困った状況に陥ります。

 顧問先でも育児休業から復帰した社員さんが、子供の病気のせいでまともに働けず、結局退職してしまうというケースをよく見かけます。いくら仕事を続けたくても、子供か、仕事かという選択肢を突きつけられたら、極端なことをいえば子供には将来や命がかかっているので、子供を選ぶしかありません。

 ただ、お金を払って働いてもらっている以上、まともに働けないなら辞めてほしいという会社の本音も仕方がないと思います。このしわ寄せを企業がすべて受け止めるのはつらすぎます。大企業を除けば、いつ来るか、いつ休むか、いつ帰るか分からない社員さんを抱えていられるほど資金的、人員的に余裕がある企業は少ないです。

 そしてまた一方、子供が病気の時にまで誰かに預けるなんてひどい、とか、そんなにずっと預けっぱなしで仕事をするなんて、本当に育児をする気があるのかという意見もあるようですが、私を含め私が知っている範囲の働くママは、本当は病気の時くらい一緒にいてあげたいと切に思っています。一方、少子高齢化で出産年齢が上がり、保育園の他のママ達もそれなりの年齢で、それなりに責任がある仕事をしている方が多いです。当然責任が重ければ重いほど、代わりがいなくて簡単に仕事に穴をあけることができなくなります。
 
 病時保育つきなら、ちょっとした熱でも、何がなんでもすぐに帰らなきゃいけないということはありません。社外のお客様との折衝中で、子供がただの風邪でちょっと熱があるようなケースなら、病時保育で預かってもらうといいし、子供の病状が重い場合や、その日の仕事が社内作業なら早退したりなど、子供の病状の軽重と仕事の軽重に応じて決められ、選択肢が広がります。

 今の保育所の制度は、女性が責任のある仕事をしていない前提の制度なのではないかと思います。国も本気で女性の就業率を上げようと思うのなら、病時保育機能をもっと強化していかないと、企業が育児中の女性を雇うのはこりごりだと逆に敬遠するようになってしまい、さらに就業率は下がってしまったりするのではと心配してしまいます。