タイムカードによる時間管理は強制?

 労働基準監督署の調査が入ると、今後はタイムカードで労働時間の管理をしなさいという指導がされることが結構あるのですが、実はこれには法的な根拠はありません。真偽のほどは分かりませんが、監督署は出勤簿で勤怠を管理しているという噂があったりします。

 実際昨年末の国会答弁でも、「労働基準監督署はタイムカードの記録により算定された労働時間に基づく賃金の支払いを強要しているのではなく、タイムカードの使用を含め、個々の事業場の実情に応じた適切な方法により確認された労働時間に基づき、賃金を支払うよう行政指導している。(略)タイムカードの打刻時間が必ずしも労働時間と一致するものではないという点が確認されている。」というものがありました。

 製造ラインや店舗接客業のように労働時間と売り上げ(または成果)が比例している業種は除外するとしても、そうではないホワイトカラー職にまでタイムカードによる分単位の労働時間管理を強制するのは、納得しづらいなというのが私の考えです。
 出勤簿による管理を、サービス残業の隠れ蓑にするのはもちろん駄目ですが、個々の事業場に応じた勤怠管理を認める必要があると思います。そもそも1分でも会社にいた方が得をする制度にしてしまったら、ただでも低い日本の労働生産性が更に低くなってしまうのではないかなと心配してしまいます。

 ちなみに上記国会答弁のなかで、「タイムカードの打刻時間が必ずしも労働時間と一致するものではないという点が確認されている。」とありますが、この主張をするには、タイムカードによる打刻時間内に働いていなかった時間がある、ということを何らかの証拠を持って主張しなければならないことになります。ハードルは高いので簡単に主張できるとは考えない方がいいと思います。