ワークライフバランス

 労働時間管理の規制が厳しくなり、安易な労働時間管理をしていると、未払い残業代として多大な金額を請求されるリスクがあります。
 また残業代以外の問題としても、優秀な人材であってもあまりのハードワークに堪えかねて退職したという話もよく耳にします。これも企業社員双方にとって、もったいない話だなあと思います。
 
 ただ、個人的には思うのです。
 人生のうちで、自分の持っている力のすべてを捧げて働く時期って必要なんじゃないかと。バランスを欠くくらい何かに打ち込んで全力でやり遂げようとする期間って、決して無駄ではないと思います。
 自分の事で言えば、人生のうちでバランスを欠くほど何かに打ち込んだのは、高校受験、社労士受験、独立開業後の業務でした。これらはすべて私にとっては人生の転機であり、自分の持っている力のすべてを捧げた時期でした。

 私は高校受験の際には結構頑張って勉強したのですが、その後は家庭の事情もあり推薦で進学したので、大学受験等、本格的に勉強する時期を経ず社会人になりました。ということで25歳での社労士の受験勉強は久々の勉強で大変でした。この約1年ちょっとの期間はほとんどテレビも見ず、友達とも会わずにひたすら勉強しました。可能な日は1日10時間くらい勉強していました。寝ても覚めても勉強のことばかり、空いている時間はすべてつぎ込んでとにかく必死で勉強していました。

 それで合格し当時は大変な受験勉強だったと思ったのですが、その後の仕事に比べれば社労士の受験勉強なんて序の口でした。

 開業後は更に本当にめちゃくちゃ働きました。OLの頃は無責任なもので「水・土・日の週休3日制にすべきだ」なんて真剣に考えているようなお気楽な働き方だったのですが、その頃とは別人になって働いていました。 
 でも働いても働いても全然足りないのです。新しい仕事が来るたびに新しい世界が広がるので、またゼロから勉強して、経験を積んでという繰り返しでした。寝る時間も惜しんで土日も費やして働いていても辛くはなく、楽しくて楽しくてたまりませんでした。「ああ社労士という仕事は私にとって天職だ。私はこんな仕事に出会えて本当に幸せだ」と本気で思いながら、働いていました。

 今は子育てもあって、前のように仕事にだけすべての時間をつぎ込んでいるという生活ではありませんが、あの時期があったから今があります。テレビも見たい、友達とも遊びたい、旅行にも行きたいと言っていたら、今の私はありません。たいした「今の私」じゃないかもしれませんが、少なくともあのままお気楽OLを続けていたよりは、私にとっては密度の濃い良い人生です。
 若く体力のある時期に、仕事に必死で打ち込めた時期があって自分は幸せだと思っています。

 ただ、一生ずっとハードワークというのは無理で本当に病気になってしまいかねないし、また人それぞれ限界が違うので注意は必要です。
 先が見えないことが多いこの世の中で、どうしても経営者や上司は、とにかく24時間365日全速力でずっと走れと号令をかけてしまいがちです。でもそれだと社員にとっては、先が見えないなか、ただひたすら引きずりまわされている気分になってしまうのではないでしょうか? 
 ここぞっという時にしっかり働けるようにするためにも、社員が仕事に打ち込みたいと思わせるような仕掛けのアクセルと、もし疲れてしまったら休むこともできるというブレーキの両方を提示すれば、社員は安心して、しっかりアクセルを踏み込めるのかなと思っています。どうも今の日本では、休むともう「ダメ社員」扱いです。一度バリバリ働けた人ならポテンシャルはあるはずので、待てばまた活躍してくれるかもしれません。

 とはいえ、長時間労働や未払い残業は企業にとって大きなリスクです。
 十分ご注意を。