割増賃金と歩合給を相殺したタクシー会社に支払い命令

 札幌のタクシー会社が割増賃金が増えると、歩合給がその分減るという仕組みで運用していたところ、社員が実質割増賃金の未払いであると訴訟を起こし、会社が負けて支払い命令が出たようです。

 歩合給をどんな風に払うのかについては会社の自由ですが、これを認めると割増賃金の制度そのものが実質的に無効となってしまうので、裁判所もさすがにこれを認めるわけにはいかなかったようです。

 詳細な資料がないのでなんとも言えませんが、会社側的視点では、タクシー運転手が残業時間帯で働こうが、深夜時間帯に働こうが、お客さんからもらう料金が割り増しになるわけではないので、割増賃金を支払いつつ、利益を減らさないようにするにはこの方法しかないと思ったのかなと推測してしまいます。

 会社の願いは、利益に比例した給与なのですが、労働基準法は利益に関係なく時間比例の給与を支払うよう求められます。それが困るなら、人事考課制度を入れて、包括的にどれだけ会社に利益を残したかによって給与が決まる仕組みを入れるしか方法はないと思うのですが・・・。