お金と人事制度

 人事制度を作る際は、たいてい給与制度も一緒に作ります。
 その際に話題になることが多いのが、「お金のために働くってどうなの?」という疑問です。
 確かに社員さんはお金のためだけに働いているわけではないと思います。そして会社も社員さんの鼻先ににんじんをぶらさげるような気持ちで、給与設計をすべきではないと思います。
 ただ、思うのです。
 ビジネスの世界では、「お金は誠意」では?って。

 いくら口で感謝しているとか、君を認めていると言ったところで、その社員さんにお金を払いたくないなら、本当に認めているかどうか疑問です。社員と会社の関係になると単なるビジネスライクな関係ではなく、家族主義的な考え方もあり、その関係にお金を持ち出すと嫌な感じになってしまうというのも良く分かるのですが、私はやはり、正当な成果や貢献に対しては、会社は正当な報酬を支払うべきだと思います。それは会社が社員に対して表せる誠意の大きな要素のひとつで、会社は家族主義的な価値観を元に社員さんに甘えずに、緊張感を持って報酬を支払っていくことが、信頼につながるんじゃないかなと思っています。

 ただ、この「正当な成果貢献に対し、正当な報酬を支払う」の「正当」ってのがとても難しいです。給与が高ければそれで誠意があるのかといえばそうではなく、例えば会社の支払い余力を超えて(もしくは考えずに)給与を支払っていたり、頑張っている人にも頑張っていない人にもみんなに高い給与を支払っているのは全く正当とは思えないです。どちらもあまりいい将来があるとは思えないからです。

 最後に家族主義的な関係について誤解してほしくないのですが、私は家族主義的な関係をしっかり作れている会社は危機に強いと思っています。顧問先さんの中でも、会社が危機に瀕した時に、社員さんが給与の減額等も受け入れ危機を乗り越えられる会社と、会社が危なくなると社員さんがそれぞれ我先に権利を主張して、崩壊に拍車がかかる会社があります。